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医者になってよくない,想像してなかったことまとめ.

医者になってよくなかったこと,想像していなかったこと 医学/医者関連

医者になってよかったこととよくなかったこと,どっちもしりたいな.

実際に働いてみて,よかった点だけでなく,正直な悪かった点も聞いてみたい!

医者になってよかったことは,過去の記事でまとめていますのでそちらを参考にしていただければ幸いです.

医者になって正直によくなかったことを,現在,総合病院で消化器外科医として勤務する現役医師が解説します.

医者になってよくない,想像してなかったことまとめ.

汚れた絵具製品
外科医は3Kとも呼ばれることも.

医者になってよくないこと,想像していなかったこと①:うまくいかないことがある

医者になって思うのは,どんなに頑張っても助けられない命があるということです.

前回の記事で書きましたが,医者は人から直接ありがとうと言われる,非常に嬉しい働きがいのある仕事です.手術がうまく言った瞬間には家族からお礼を言われ,退院する時には患者・家族からお礼を言われます.

ただしかしながら,どんな治療や手術もうまくいかないことが存在します.

私自身は,消化器外科医ですのでお腹の手術を担当しています.虫垂炎,いわゆる盲腸であったり,胃癌・大腸癌などの悪性腫瘍であったり,消化管穿孔と言われるような緊急手術であったりになります.消化器外科医の仕事については以下の記事を参考にしていただければ幸いです.

こういった手術を行う前には,『術前精査』を行い,手術を行うに際して全身の状態が元気かどうか,手術に耐えられるかどうかを精査します.

ふむふむ,この人は85歳と高齢だけれど,高血圧以外の病気は特に持ってないんだな.肺の機能も煙草を吸っていないから正常範囲,心臓も非常に元気に動いている.

厳密にはもっと数字で評価しますが,イメージとしては上記のような感じです.逆にいうと,

この人は85歳と高齢で,ご飯も普段からあまり食べられないし,手術も大腸,膀胱,肺と何回も手術している.煙草も吸ってたから肺もあんまりよくない.

このようにイメージとして『活気がない,元気がない』,『臓器も元気なさそう』っといった状態に遭遇することもあります.これは病気にかかっているのでしょうがない場合もありますし,患者さん本人の生活習慣がめちゃくちゃなため,このようになっている場合もあります.

上記の2人の患者さんを比較すると,まったく同じ手術をしたとして,どちらが手術後大変かというと,イメージ通り後者になります.

ただ,これがそうでもない場合があります.

この手術はひとつも止まることなく流れるように手術できた.さらには患者さんももともと元気だから手術後は順調に経過しそう!

こう思って手術した翌日は安心して眠りにつきます.しかしながら,翌日には発熱が39℃を超え,3日目になっても改善しない,患者さんは腹痛を訴えている.

え???どうして…

こう思いながら,術後の合併症に遭遇するケースもあります.そして再手術を行う.そんな悲しい現実が0ではありません.

やや難しい話になりますが,以下に術後合併症の参考記事を挙げておきます.

40, 50歳代の医学業界では『非常に若い』と呼ばれる世代を手術しても同様のように術後合併症が生じることがあります.やはり手術は怖いと思う瞬間でもあります.

どんな人でも術後合併症を起こさないように手術を目指しているけれど,どうしてもうまくいかない症例が存在する.申し訳ない.

特に手術をして,合併症が生じると一番つらいのは患者さんであって,私たち外科医はその痛みはわかりません.このような時,非常に申し訳ない気持ちになります.

医者になってうまくいかない,想像していなかったつらいポイントNo.1です.

手術後について知りたい方はこちらも参照にしてみてください.

医者になってよくないこと,想像していなかったこと②:拘束時間が長い

仕事はできるようになればなるほど,早く終わって,早く仕事を切り上げることができるようになるのが基本だと思います.さらにその高みを目指すこともあると思います.

医者になると,仕事が早くなっても,患者さんの状態が悪くなれば,そこを診察しなければなりません.状態が悪いのをほっぽり出して帰れませんので,どうしても拘束されます.

こういったことは仕事の性質上当たり前と言えば当たり前なのですが,どうしても拘束時間が長くなります.大切な家族との約束があってもキャンセル,恋人とデート中であったも急変すればすぐに病院にかけつける.こんなことは日常茶飯事です.

私自身医者家系ではない家系であったため,慣れるまではわかりませんでした.休日関係なくがんがん電話もかかってきますし,すぐに病院にいかなければなりませんし.

え??研修医の時と全然違う.こんなに忙しいとは聞いてないよ.

医者3年目にはっきりとこう思ったことは,今でも覚えています.医者3年目は研修医とのギャップに驚きます.

医者は忙しい,そういう世間のイメージはそのままだと思います.医者の忙しさについてはこちらにまとめていますので参考にしてみてください.

医者の働き方改革も言われていますが,なんだかんだ理由をつけられて,残業代だけもらえなくなって働かされるままだと思います.

医者になってよくないこと,想像していなかったこと③:働く場所を選べない

これは多くの医者が,【医局】と呼ばれる人事部によって働く病院を決められるからです.例えば東京大学医学部の医局であれば,全国に関連病院が存在しています.そのため,

え!?東京で働きたくて,東大に就職したのに.県外に就職なの??

こういったことは当たり前です.さらには②の時間的拘束が長いこと,からどうしても病院の近くに住むことを強いられることもあります.

医者になってよくないこと,想像していなかったこと④:働いても働いても給料は年功序列

総合病院ではその病院病院の色が存在しています.例えば,消化器外科が強く,外科手術が多い病院や腎臓内科が強く透析患者が数多くいる病院,救急が強く救命救急センターがあり,救急車の搬送台数が多い病院などです.

こういった中ではどうしても,その色が強い科が働く時間が長時間になったり,負担が大きくなったりすることが多いです.

ただどんなに働いたとしても,給料は年齢で決まっていますので,朝8時半から17時まで走り回っていろんな患者を診る医者と朝8時半から5-10人程度の外来患者を診て17時に終わる医者のどちらも給料は同じです.

これは外科医が減っている原因のひとつかもしれません.

外科は3Kと呼ばれる歴史がありました.汚い,きつい,臭い,といったイメージです.こんなきつく働いても給料は他と変わらない.それならなるのやめよう.そんな風に思うのは至極当然だと思います.

私が外科医だからこんなイメージを変えたい!と思ってる節もありますが,なんとかならないかなーと思うひとつの側面です.

医者になってよくないこと,想像していなかったこと⑤:世代交代が進まない

よくも悪くも医者は何歳になっても働くことが可能です.これは医者の数が足りないと言われている意味ではいい側面であるかもしれません.ただ若手からしたら,

いつになっても自分が手術できる機会が来ない…

研修医の時に学んだ知識が,いざ自分の科に入ってみると全然使われていない.何年も前の知識が今でも行われている.

このように思う人も多いようですし,私自身,研修医の時に学んだ知識ではだめだと言われたことを覚えています.ただ今であればしょうがない側面もある程度はわかるのですが…

ただやはり世代交代が進まない感は否めません.

医者になってよくない,想像していなかったことはあるけれど,楽しい仕事であることは間違いない.

医者になって,想像とは違ったなーっと思うことはまだまだあります.ただこれは,医者に限らずどの仕事でも想像と完ぺきにマッチする方が稀だと思います.対応可能な部分は臨機応変に対応しながら,改善してほしい部分は待つしかないのかもしれません.

いろいろよくないことを上げましたが,そうはいっても医者の仕事は非常に楽しいものです.こちらは過去の記事でまとめていますのでぜひ読んでみてください.

今回は以上になります.参考にしていただければ幸いです.

また医者になりたい方は,医者の勉強量なども参考になると思いますので以下の記事も参考にしていただければ幸いです.

コメント

  1. yuki より:

    こんにちは。

    医療、という面から普通のお仕事とはだいぶ違う、と思いますね。私のいる業界は若い人が活躍できるしお給料も仕事ができる人ほどいい(例外もありますが)年功序列なんてやっていたらできる人がいなくなって会社が潰れちゃいます

    医療の世界こそ、できる人が報われる制度を適用していただきたいなー、個人の使命感に頼っててはいけないって思うんですよ。命がかかっているなら、なおさら。

    • くちゃん くちゃん より:

      いつもブログを読んでいただきありがとうございます.
      医療業界において,ある程度一人で仕事ができるようになると理解する人も多くいるのではないのかなと思います.頑張って働いても働いても給料は変わらない,ということにです.
      頑張っても給料が変わらないなら,それほど忙しくない環境で働きたい,この思考に至るのは至極普通かと考えます.
      医師の偏在化が今以上にはっきりした時に,やっと重い腰が上がるのかな,と考えています.

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