社会人になってからでも医者・医師って目指している人いる?
いわゆる『再受験』になるけれど,そんな人っているの?
社会人になってから,色々な環境や要因で医者を再度目指す方,医者になりたいとずっと夢に見ていた方など社会人➡医者になりたい,目指す方に向けて内容です.
私自身の学生時代の経験からは,学年に4.5人の方は再受験の方がいました.
私自身は2022年現在,消化器外科医として総合病院で勤務しています.それでは解説していきます.
【医師が解説】社会人から医者になる,目指す!
日本で医者になるには,医学部医学科に入り,座学&臨床実習を行い,医師国家試験に合格する必要があります.こちらを社会人から行うには,大きく分けて以下の2つです.
社会人から医者になる方法①:再受験
最もわかりやすい方法で,医学部医学科のある大学を受験しなおすという方法です.大学入学共通テスト(旧:センター試験)を受験し,大学独自の二次試験を合格しなければなりません.私たちの時にはなかった『情報』と呼ばれる科目も必要になるかもしれません.
再受験の場合,数学や物理などを再度勉強しなおす必要がありますので,予備校に通う人もいたり,仕事のあいまをぬって勉強したりと様々だったようです.当時の同級生は,家庭の協力が必要不可欠だったといわれていました.
社会人から医者になる方法②:編入試験
大学1年からではなく,途中から『編入』という形で医学部医学科に入る方法です.国公立や私立大学にしろ編入を認めている大学が少なからずあるようです.ただ私の周りには編入で合格した方は見たことありません.
医学部医学科を再度受験して目指すか,編入して医学部医学科に入るか.どちらにせよ医学部医学科で座学・臨床実習を積んで医師国家試験を合格する必要がある.
医学部合格のための勉強
私の話になりますが,医学部合格のために学生時代と浪人時代にはこれでもか!と思うほど勉強しました.医者になった今,あそこまで勉強漬けにはなかなかなれないと思います.この勉強量を社会人からするのはとてつもない労力の必要と容易に想像できます.自分ではなかなかできないなーとも思います.
この医学部合格や医者になってからの勉強については,別記事にまとめていますので参考にしてみてください.
社会人から医学部に合格し,医者になった同期
私が実際に医学部にいた時に社会人から医者になった同級生がいました.Panasonicで実際に働いた後入学した同期,普通のサラリーマンから2.3年勉強されて入学した同期,歯医者・理学療法士になってからやはり医者の方ができる幅が大きいと入学された同期などさまざまでした.
相当な努力と根性を持たれていた印象でした.そんな同期の特徴を医者になった今,振り返った形でまとめていきます.
社会人から医学部に合格し,医者になった同期の特徴①;専門科が決まっている
小児科になりたくて,再度医学部に入学したんだよね.これからの未来を創っていくこどもを診察できる科ってやっぱいいなーと思って.
実際に理学療法としてリハビリしてたら,リハビリじゃなくて治す整形外科もできたら,もっと幅広がると思って思い切って目指した!
上記のように,医学部入学した時点で,なりたい専門科があって明確な目標を持たれていました.やはり社会人から再度大学受験をしてまで医者を目指すわけですから,強い意志がなければ難しいと考えます.
『医者になってしたいことが明確』この意志が必要かと思います.
社会人から医学部に合格し,医者になった同期の特徴②;勤勉さ
当たり前なのかもしれませんが,相当な勤勉さを持ち合わせていました.もちろん家庭がある方もいて,そんな中で大学に通うわけですから,授業で全て吸収して帰るくらいの勢いがありました.
私自身,社会人から医学部に合格した同期に試験前は非常にお世話になりました.いろんなことを教えてもらい,テストで出る箇所をピックアップしてもらったり,と非常に優秀かつ勤勉な同期でした.
社会人から医学部に合格し,医者になった同期の特徴③;収入がある.
理学療法士だった同期は,理学療法士として収入も得ながら医学部医学科に通っていました.そのほか,医学部医学科合格という肩書を活かして高収入な家庭教師をしている同期もいました(これは社会人でなくてもしている医学生はたくさんいます).
社会人から医学部に合格した同期には,①医学生中も何かしらの収入を必ず得ること,②医者になるまでの期間,親などからの援助もだけでなく,自立心がそれ以上に高いこと,が見てとれました.特に家庭がある場合は妻の協力が必要不可欠ですが,生活費も稼ぎながら勉学と両立されていました.
勉強も稼ぎも両方できる,それくらいのパワーは絶対に必要かと感じました.
社会人から医者になると不利な点
社会人から医者になることに関して言えば不利な点はないと思います.ここからは実際に医者になってからの不利な点について解説していきます.
社会人から医者になると不利な点①;日当直がきつい.
20,30代の頃は日直,当直どちらも何ともなかったし,次の日の勤務や手術も余裕でこなせてたなー.40代になるとそれが結構しんどくなる.お前もいつかそうなるんで!
こちらは先輩の言葉です.私自身,20歳代の日直・当直に関しては勢いだけで乗り切れていました.篤実の勤務も通常通りありますが,余裕でこなせていました.
昨日当直で2時間しか寝てないけど,今日朝から晩まである長い手術やー!まぁ、なんとかなるでしょ.
と実際に何とかなっていました.
社会人になって,何歳くらいで医者になるのかにもよると思いますが,先輩たちの言葉や姿を見ていると,日直当直は年老いてくるとやはりしんどいものがありそうです.特に研修医時代は最低でも月に4回は当直がある病院がほとんどで,しんどいと言われる同期も多々いました.
社会人から医者になると不利な点②;外科系には向かないかも.
50歳近くなってから,本当に目が見えなくなった.
これはもう人間の老化現象で,『老眼』です.医者になってバリバリ手術がしたい!と思っていても,手が動かないこと,目が見えないことは致命的なハンディキャップになります.
さらには外科医として,手術ができるようになるまで最低10年は必要と言われています.仮に40歳で医者になって手術ができるようになっても,もう50歳で目が見えにくい,という状況になりかねません.
もちろん,拡大鏡と呼ばれるルーペの様な眼鏡をかけて手術を行ったり,腹腔鏡のように画面を見ながら手術をおこなったりしますので,全ての手術で不利とは言いません.ただ目が見えないよりは見えた方がいいです.老眼が迫っている年齢であると,外科系は不利かと思います.
その他,器用か不器用かなどを気にされる方もいるようですが,それはあまり関係ないと私は感じています.
社会人から医者になると不利な点③;年齢を気にせず仕事できるか.
医者はどちらかと言えば,医者歴で先輩後輩が決まってます.特に専門医と呼ばれる自分の決めた科の専門の資格を取るまではです.
医者になって1-5年目まではどうしても,先輩医師に実力でかないません.そこには採血の仕方,胸腔ドレーンの入れ方など医者にならなければできない仕事が存在するからです.6年目以上になれば,そういった経験量が増えてくるため,自分の勤勉さや努力次第で先輩医師を追い抜くことも可能です.
こういったいわゆる下積み時代に,社会人から医者になった自身よりも年下の医者に,指導される状況は避けて通れません.この時に年齢を気にしていては仕事になりません.
多くの医者は医者3年目はしんどい、と感じる医者が多いようです.
ただ社会人を経験した後,医者になろうと思い,実際医学部および医師国家試験に合格する人ですから,年齢に関してはあまり気にしない方がほとんどです.
社会人から医者になると有利な点.
社会人から医者になると有利な点は数えきれないほどあると思います.先ほどの不利な点に関しては,ひとことで言ってしまえば『体力面』に関してです.それゆえ体力を除けば,社会人になってから医者になるほうがほぼ有利です.
医者になってもカンファレンスは数多くあるので,社会人を経ている場合はプレゼンテーションになれていたり,研修医になる時の就活に関しても,その就活を経験済みだったり,他院への紹介状を作成する時の言葉遣いが,医者しか経験したことない人よりも非常に丁寧だったり,と有利な点は数えきれないほどあります.
何より他の仕事の経験がある事は,非常に強いです.思考が柔軟な方が多い印象だからです.私自身,もっと他の仕事をしてみたいと思うこともあるくらいです.
医者の就活についてはこちらになります.興味がある方はよんでみてください.
医者になってよかったことや想像していなかったこと
こちらは私自身の体験になりますが,医者になってよかったことや想像していなかったことなどをまとめています.興味のある方はこちらも参考にしてみてください.
【まとめ】社会人から医者になる,目指す!
いかがでしたでしょうか?
社会人から医者になった同期の姿を見ていて感じたことをまとめさせていただきました.医者は医療業界しかしらず,『世間知らず』と言われることも多々あります.それは閉鎖的な医療という空間でしか働いたことがなかったり,働き始めた瞬間から他職種 (看護師,理学療法士など) に指示する立場になったりするからだと思います.
デジタルトランスフォーメーション(DX)が進まず,まだまだ人力で何かを乗り切ろうとしている非効率的な仕事の多い業界です.社会人を経て医者になる,そんな人が増えて,これまでの閉鎖的な空間が活性化される業界になることを祈っています.
社会人から医者を目指す方の参考になれば幸いです.
また社会人で家庭がある方は,住まいについても考えておかなければならないと思います.
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