●がんのリスクなどについてしりたい.
このような疑問がある方や健康に興味がある方に向けて書いています.
現在消化器外科医として総合病院で勤務する医師が解説します.専門分野である,消化器系のがんについて考えてみたいと思います.
医者の話は難しくてイメージが付きにくい.イメージが分かりやすければいいのに..
そんな方にはこちらの記事を参考にしていただければ幸いです.
がんのリスク要因・予防要因から再考する.手術の難しさ.
がんリスク要因・予防因子
がんには罹患するリスクがあります.もちろんこのリスクがなければ,がんにかからないというわけではないですが,少しでも要因を減らせればと考えます.
厚生労働省研究班の『科学的根拠に基づく癌リスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究』による消化器癌を参照に,早速以下解説していきます.
参考文献:消化器外科専門医の心得
食道のリスク・予防要因
- リスク要因①確実なもの:喫煙,飲酒、②ほぼ確実なもの:熱い飲食物
- 予防要因;野菜,果物がほぼ確実
胃のリスク・予防要因
- リスク要因①確実なもの:喫煙,ピロリ菌感染,②ほぼ確実なもの;食塩,③可能性:穀物
- 予防要因;野菜,果物,女性での緑茶が可能性あり
大腸のリスク・予防要因
- リスク要因①確実なもの:飲酒,②ほぼ確実なもの;肥満,③可能性;喫煙,糖尿病,加工肉
- 予防要因;運動がほぼ確実,食物繊維・カルシウム・魚由来の不飽和脂肪酸などが可能性あり
肝臓のリスク・予防要因
- リスク要因①確実なもの;喫煙,飲酒,B/C型肝炎,②ほぼ確実なもの;肥満,糖尿病
- 予防要因;コーヒーがほぼ確実
これらから考える手術の難しさ
当然,これらのリスク要因が全てではありません.しかし,こういったリスクから手術の難しさも比例することがあります.
手術は手術だけではなく,その後の術後管理も非常に重要です.いかに術後合併症を起こさないかということが外科医の目標のひとつでもあります.
多くの消化器のがんでは飲酒や喫煙がリスクになっています.そして,そのなかでも飲酒はアルコール肝硬変などと言われるように,肝硬変にもなりえます.また喫煙は慢性閉塞性肺疾患(=COPD)と言われるように肺の機能を低下させます.
つまり,飲酒で肝臓が悪い状態,喫煙で肺が悪い状態でがんになる可能性もあるわけです.その状況下で手術をするとなるとそれだけでかなりハイリスクです.と考えると、先ほどのリスク要因などに当てはめると,一般的に食道がんや肝臓がんの手術はハイリスクです.
そして手術は治すわけではなく,取り除いて補うものになります.ゆえにもと通りになるわけではありません.
最も大切なのは,できるだけ健康な暮らしを継続すること.
病気というのは突然やってきます.多くの患者さんも,
症状もなかったし,予兆もなかった...
といわれます.つまり突然,手術をしなければならない,そんな状況になります.
もちろん健康に最大限気を使って生活されている方でも,病気になる可能性は0ではありません.ただそのリスクが分かってきている現代では,病気のリスクはできるだけ減らしたい.減らすべきだと思います.
健康であることにありがたいと思うのは,病気になったときです.
当たり前のことかもしれませんが,健康な生活を送るように努めたいですね.
こちらの記事もぜひ参考にしてみてください.
コメント
こんにちは。
今現在は、がんは不治の病ではなく、手術できれば予後よく残りの人生を送ることもできるようになってきているんだな、って思います。
なので、もし消化器の癌にかかったら安心してお任せできる医師に手術していただきたいですね。
そして、いかに健康的な生活を普段から送るような習慣づけが大切だなーって感じます。
不養生、不摂生な生活をして体を壊したのを機に改善しようとしていますがなかなかにしんどいです。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます.
手術だけではなく,化学療法(=抗がん剤),放射線治療などを組み合わせた集学的治療になってきています.
手術をしなくてすむならそちらの方がいいので,おっしゃられる通り習慣づけが大切だと考えます.