●ドラマなどで身内の手術の状況なんてあるけれど本当はどうなの?
結論を言うと,医者は身内の手術を行うことは可能です.
現在,消化器外科医として病院で手術も行いながら働く医者が解説します.
医者は自分の身内の手術をすることは可能?現役外科医が解説します.
医者の身内の診察をしてはいけない,そんな規則は存在しない.
結論でも申し上げましたが,医者は身内の手術をすることは可能です.
手術以外も診察,入院の手続き,主治医として診察するなど身内以外の患者さんと同様に全ての診察に携わることが可能です.
病院に自分の身内の診療をしてはいけない,そんな規則は存在していません.
私自身はいまだ経験したことがありませんが、経験したことがある上級医もいます.
初めての大きな手術は親の手術だったなー.
上記のようにお話しされていました.もちろん自分1人で全て行ったわけではなく,その他の先生の手伝いもかりながら手術をされたと考えられます.
私自身が同じ状況に置かれた場合,つまりもし私の身内が手術しなければならない状況になった場合,自分で手術することを選択します.
ただし自分の専門外であった場合は,専門の先生に託します.
これは他の患者さんと同様で専門外であった場合は,最良の医療を提供できないと考えるからです.
医者が身内を手術できない,そんな話があるのはなぜ?
手術は普通の診察とは異なり,一発勝負です.
普通の対面で話す診察の場合は,『また来てくださいね』と,次回来てもらうことで様子を知ることが可能です.
手術となると話は別です.すべてを一発で決めなければなりません.
同じ患者さんに同じ手術をすることはできません.
それゆえ,プレッシャーもかかりますし,責任も重大です.
それが自分の身内となればそのプレッシャーはものすごく大きくなるのは容易に考えられるのではないでしょうか?
そんなプレッシャーの中手術が正常にできない可能性もあり,身内の手術はしないといった話がでてきたのかもしれません.
医者もただの人間.
この痛みがあった時はどうしたらと.本当に助けてくれてありがとう,神様みたいなもんだわ.
このように言われたこともありますし,医者しか感じることができない最高の喜びのある瞬間です.
ただこのように言っていただいたとしても,医者もただの人間でできないこともたくさんあります.
もうどうすることもできないんです.
こんな話をしなければならない状況もあり,このような時は非常に無力感を覚えます.
病院では白衣を着ているため医者と認識されますが,病院をでればスーツを着ていないただのおっさんです.
大学病院の教授ですら,病院を出て歩く姿はよくみるおっさんと同じです.
本当にただの1人の人間で,緊張,プレッシャーなどは誰しもと同様に存在しています.
ただの人間が最高のパフォーマンスを出すためには,ある程度の緊張は必要かもしれませんが,極度となるとどうなのでしょうか?
これが身内の手術ができるかできないか,するべきかしないべきか,に繋がっていると考えられます.
医者は自分の身内の手術をすることは可能?:まとめ
医者が自身の身内の手術をすることが可能なのかについてまとめてみました.
まとめると,手術をすることを禁止する規則は存在しない.だが,極度の緊張・プレッシャーがかかることは容易に想像される.
このため「しない」という選択肢もありうる.
他にも,自分以上にその手術に対して長けた先生が近くにいる場合には,身を引く可能性もあるのかもしれません.
私自身はそのような決断はないようにしたいと考えて日々邁進している次第です.
今回は以上になります.
医者の身内事情に関してまとめてみました.
ドラマなどで取り上げられる話題ですので,参考になれば幸いです.
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