医者は高年収な仕事と世間一般的なイメージがありますが,そんな医者でも考えておかなければならないのが退職金事情です.退職金はない可能性があるからです.
退職金がないなんてあるの?高年収だから退職金もたくさんもらえるんじゃ…
以前,医療従事者こそ高配当株投資をすべき理由について書かせていただきました.
医療従事者のなかでも,医者は絶対に高配当株などの投資をしておかなければならないと考えます.その理由の一つが退職金がほぼない可能性も十分ありうるからです.
医者の退職金事情,ほぼない?もらえない?について現役の消化器外科医が解説していきます.
医者の退職金事情.もらえない?その可能性本当です.
医者の退職金がない可能性.勤務医と開業医.
医者には,総合病院などで働く『勤務医』と街医者になる『開業医』の2種類に大きく分けられます.
簡潔に言ってしまえば,雇われの身であるのが『勤務医』,起業しているのが『開業医』に分類されます.
まず開業医に関しては,退職金がないのはおわかりいただけると思います.開業医ですから,自分自身が社長になるわけです.そこに退職金などのルールはないに等しいですから,ないのはお判りいただけると思います.
ただ勤務医に関しては,雇われの身ですから退職金がありそうです.ここにはあるからくりが存在しており,退職金がもらえる人ともらえない人に分けられます.
同じ仕事をしているのに退職金がある医者とない医者がいるの?不思議だなー.
この時点で不満が出てもよさそうですが,2022年まで大きな問題になっていないのですから,退職にちかずくまであまり検討もしていない人がおおいのかもしれません.
勤務医で退職金がある人とない人の違い.
医局による転勤事情が問題になる.
最近はフリーランスの医者も少しずつ出てきてはいますが,地方などでは医局の力がまだまだ強いです.
医局というのは,会社で言う本社です.本社から指令がきて,転勤などがきまります.医者の転勤事情に関しては以下の記事を参考にしてください.
ただ医局は本社であるにも関わらず,その医者が務める支社とは直接的に関係がないのです!
医局って医者をどこに送るかを決めてはいるけれど,送った後はそこの雇用形態などは各病院にお任せってこと?
そういうことです.病院を転々とするたびに勤続年数は1年としてカウントされるようになります.
勤務医は病院を転々とすることが多いため,勤続年数が非常に短くなります.特に20-30代までは2,3年ごとに病院を転々として,様々な技術を学ばなければなりません.確かにこちらは必要だとは思いますが,将来の退職金という観点から言えば非常に不利です.
運よく40歳で総合病院の管理職に任せられれば,その後20年働けば1,000万円弱の退職金をもらえる可能性があります.
ただ40歳になって7,8年働いたとしても,その後,他の病院を強化したいなどの医局の思惑があれば,転勤を命じられることもあり,再度勤務年数リセットです.
このからくりのため,現役時代から常に老後の問題を考えておかなければ,70,80歳まで医者を続けなければならなくなります.
退職金が病院の勤続年数で決まっている.そして人事を握っている医局はその病院とは勤務体制などに関わっていない.ゆえに,病院を転勤するたびに勤続年数が0になる.
運よく若いころから同一病院に勤務できれば,退職金がある.転々と勤務病院を変えられれば,退職金はあってないようなものになる.
フリーランスの医者は勤務医であっても退職金がある.
フリーランスは医局に属さない医者ということになりますから,言ってしまえばその病院に就職することになります.
つまり,勤続年数が長期間になることも可能であるため,退職金がしっかりある,そんな状況になります.
医者の退職金はない.そう考えて資産形成をしなければならない.
勤務医の退職金は完全に運です.何しろずっとその病院で働くかを決められないのですから.
老後は退職金と年金で何とかする!
退職金は上述の通り,運任せですし,年金制度は今の世代がもらっている金額と同等のお金がもらえるとは考えにくいでしょう.何しろ少子高齢化がとてつもなく進んでいますから.
つまり将来の備えは自分自身で若いころから備えておかなければならない,これに限ります.
iDeCoは勤務医は必ずしておく老後のための資産形成ならびに節税.
iDecoは国が推奨している個人型確定拠出年金です.最大2万3,000円/月で投資に回すことが可能で,年間最大27万6,000円投資に回すことが可能です.
そしてこの27万6,000円は所得税から控除されます.勤務医ができる数少ない節税になります.
iDeCoを研修医1年目,つまり25歳頃から60歳まで満額で継続.研修医の時は給料が低い場合もあるため,30歳から60歳までと仮定すれば,828万円にもなります.
2万3,000円を年率4%で30年間運用すれば,1,500万にもなります.現状のデータでは米国株にかけておけば,年率4%は充分に期待できる利回りだと思います.
これにつみたてNISAをかましておけば,さらに安心できるかと考えます.余裕があれば,一般NISAでもいいかもしれませんが,一般NISAは非常に難しい.そう身をもって実感している自分がいます.
まとめ:医者の退職金事情.ない?その可能性本当です.
医者の退職金事情についてまとめてみました.
ただ現在のように年功序列で給料が上がる制度が続くかどうかもわかりません.日立がそうしたようにジョブ型雇用に切り替わっていくかもしれません.特に医者はジョブ型雇用が導入しやすい職種でもあると思います.
さらには現在は,医者は研修医が終わって自分の進みたい科に進むことが可能です.ただこうなるといつか確実に科によって医者の偏在が生じるのは間違いありません.
なぜなら,どの科に進んでも年齢で給料が決まるわけですから,夜勤などの呼び出しが少ない科に人があるまる傾向になるのは至極当然です.
こういった制度が変わるのに期待するべきか,それとも今からiDeCoやNISAを使用して資産形成しておくべきか.今一度考えてみてはいかがでしょうか?
皆様の参考になれば幸いです.
当ブログでは日本株や米国株の高配当株投資に関する情報も発信しています.興味がある方は参考にしてみてください.
コメント
こんにちは
退職金のお話と直接的ではないのですが、診療報酬、安すぎない?って思っています
腹腔鏡による虫垂切除手術、レセプトの点数が低くてびっくりしました
もっと点数高くして報酬が増えないと、腕のいい方は海外に行っちゃうんじゃ、て思います
内科医師の1回の診察も安いなー、って思います、辛抱強く訴えを聞いていただいてこれかー、診察1分でも同じ報酬ならそうなっちゃいますよね。
私の願いは医師を含む医療関係者の皆様の報酬がもっと妥当であること、です
そして、患者は治療いただいていることに感謝して、自分自身が健康であるために少しだけ意識をするのが自分ができる精一杯かなって思います
いつもブログを読んでいただきありがとうございます.
そのように考えていただけるなんて非常に嬉しい限りです.なかなか昔に作られた制度が改善しないというのは医療界だけではなく,いろんな分野でもそうなのかもしれません.
日本全体が活性化されていくのを期待するばかりです.