●何人も患者を抱えているから一人一人に対してドライに思える.
●医者って何を考えているのかわからない.
医者も1人の人間.その中で人間性はどうあるべきか悩む.
病院で現在消化器外科医として働く現役医師が,日々の診療で感じる様々な医者の人間性について説明します.
医者の人間性.医者はドライ?冷淡?普段の診療を通して感じること.
医者の人間性は『偉そう』
医者の人間性は経験値によって大きく変わってきます.以下のように思う方も多いかもしれません.
医者ってなんか横柄で,偉そう!
これは医者という特殊な仕事環境が,医者に勘違いさせている可能性があります.
どういうことかというと,医者は例え1年目の新米医者であっても,上司なんです.病院には医者だけでなく,薬剤師,看護師,理学療法士,作業療法士,栄養士など様々な職種が存在します.
そして医者以外の医療従事者は,医者からの指示のもと,医療行為を行うのです.
看護師さんにしても,看護師さんが勝手にどんな点滴をするかなど決定できません.医者が点滴を決めて,それに基づいて点滴を行います.理学療法士さんも,医者からのリハビリ依頼があって初めてリハビリ介入できるのです.
この特殊な仕事環境,【医者は指示を出さなければならない】が医者に勘違いさせています.
最初から指示を出す立場であることで,医者自身が偉いと思い込んでしまう人もいるわけです.特に2,3年目の仕事が少しずつできるようになってくると,偉そうな発言をしてしまう場合もあります.
そして4.5年目にかけて様々な経験を通し,周囲の看護師さんや理学療法士さんなどの評価も分かれてきて,少しずつ自分の態度に関して間違いがあるのでは?と気づく医者とそうでない医者に分かれていきます.
横柄さや偉そうな感じはここがひとつの分岐点になります.
医者としてあえて強気に,偉そうに振る舞う人もいる.
ある上級医の先生がそうでした.患者さんに対してはすごく優しく真摯に対応していましたが,看護師さんなどの周囲の医療従事者にはかなり厳しかったです.
飲み会の時になぜかそんな話になりましたが,その時に言っていました.
私たちは指示を出すことがほとんどで,患者さんが起きている場面での関りは看護師さんなどの方が圧倒的に多い.その中でミスや勘違いは許されない.だから,きつめにびしっと言っておかないといけないと思う.自分は嫌われるかもしれないけれど,患者さんに不利益にならなければいい.
このように患者さんのことを一番に考えすぎて,極端に振り切れている場合もあるようです.
私自身はできないプロフェッショナル性ではあります.
医者はドライ?冷淡?
あの先生,なんか冷たいのよねー.何を考えているのかわからない.
患者さんによっては上記のように感じる方もいるかもしれません.
もちろんはじめから冷淡さをもって接する医者はいないです.ただ医者である以上,その人の置かれている今後の展望が何となく見えてしまいます.
直接言えないこともあるのが実情です.
そのような時に冷たさを感じてしまうのかもしれません.
他にも外来診療で診察時間が決められており,決められた時間までに患者さんをさばききらないといけません.
どうしても1人1人の患者さんにかけられる時間が決まっています.
そのため全ての患者さんの満足のいくまで訴えを聞くことができない場合も多々あります.
医者に必要なのは熱意で,患者さんによくなってほしいのみ.
『人間性』と呼ばれる非常に抽象的なことに関してまとめました.
人間性ですので,正直,その人その人の性格による,というのが一番かもしれません.
患者さん・ご家族さんからしたら偉そう,冷たい,と感じる時もあるかもしれませんが,少しでも状態が改善するように尽くしているのは,医者全員同じです.
医者に必要な人間性を言えば,【熱意】のみではないでしょうか?
どんな状況でも最善を尽くす,そんな熱意です.患者さんの改善を願わない医者は,それは医者ではなく,ただの他人です.
少しでも不安に思われる方が減れば幸いです.
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