・部下の教育に悩んでいる
こんな方に向けた記事になります.私が読んだ書籍から得た知識も含めてご紹介します.
部下がやる気がない,仕事ができないと感じる理由を考える
仕事が単純作業の繰り返しになっていない?
部下の仕事が繰り返しの作業になっていないでしょうか?特に,準備だけの作業になっていないでしょうか?
外科医であれば,毎朝夕と入院患者さんの状態を診てまわる『回診』が存在します.毎朝必ず患者さんのお腹を診て,夕方も変化がないかを確認する.この時に使用する道具や処置の仕方があります.これが単純作業になっていないかを考える必要があります.
お腹に入っている管(ドレーンと呼ばれます)の閉塞がないかを確認する時に,大切な作業だからと自分だけがやっていて,部下はみているだけ.処置の準備をしてもらうだけになっていないでしょうか?朝も準備,夕方も準備だけさせられる.準備はしたものの何もさせてもらえない,これはかなり苦痛ではないでしょうか?
もしかしたら『自分たちの時代は準備からだった.もっと下積み時代が長かった』と思われる方もいるかもしれません.ただ時代は変化しており,三菱UFJ銀行でも新人から年収1000万円になれる人材を採用する時代になっています.年齢に伴う下積みはどんどん短くなっている印象です.
何か準備して,させてもらえる.プレゼンの準備をして,プレゼンさせてもらえなければ,,,自分ならばどうでしょうか?
時期としてしょうがない時期?
特に新人と一緒に仕事をし始めた時に考えなければなりません.社会人1年目の4-6月くらいは学生時代のノリが残っている状態です.1年以上働いている上司とは違い,『なんとなく乗り切ればいい』そんな考えがあるかもしれません.これが部下のやる気がないように感じてしまう原因の一つになっている可能性があります.
さらに4-6月の時期は,『質問したくても何がわからないのかわからない』.そのため,質問も思い浮かばない.それがやる気がない,仕事ができないと思ってしまう可能性もあります.
あの部下はやばい!質問もなにもしてこない.やる気が感じられない.
もしそう思っているのであれば,『正直に何がわからないかわからない?』と聞くのもありです.『わかってる?』と聞くと,怒られているように聞こえ,恐怖心を与えてしまうだけになります.
私自身,4-6月の時期の研修医1年目の先生と関わる時は,全て教える,手取り足取り教えることを心がけるようにしています.
新人の4-6月の時期は赤ん坊を育てる,そんな心持でいることが必要かと思います.
育てられた環境が違う?
部下の育てられた環境は必ず自分とは異なります.共通点はあるかもしれませんが,出身であったり,家族構成であったりと違う部分もあるはずです.
一般的によく言われているのは,末っ子は甘やかされて育てられるとよく言います.それだけでも違うかもしれません(読者が末っ子の場合はすみません).お兄ちゃんやお姉ちゃんより欲しいものをたやすく買ってもらえた.しなければならないことも準備された状態で渡される.そんな環境であったかもしれません.
仕事は自分で見つけるものだ.誰かに言われて探すものではない.
与えられていなくても,自分でどうにかしなければならない状況で育ってきた.そんな人は上記のように言われても合点がいくかもしれません.逆にそうでない人がいることも事実です.
育ってきた環境が違い,『自分で仕事を探して行う』そんなことに慣れていない可能性も十分にあります.
部下がやる気がない,仕事ができないと感じるならしてみること
理由を考えたあとは,自分自身ができることをしてみましょう.
待つ
失恋した時や悩んだ時なども,時間が解決してくれることは多々あります.
部下の指導に関しても同様です.もうひたすら辛抱強く待つ,部下が成長してくれるのを待つ.イライラしたり,自分がした方が何倍も速いと感じたりしてもひたすら待つ.
これも一つの手であると思います.部下もしなければならない状況に追い込まれますから,仕事を少しずつ覚えていくことは間違いないと思います.そのスピードは人によってさまざまにはなります.
徹底的に教える
0から100まで全てを教え込む.自分自身の時間を莫大に消費することにはなりますが,その分,上達も速いです.
私たち外科医であれば,手術に関しては0から全て教えていただきました.正直その場合は,上司(上級医)の先生が手術するよりも1,2時間手術が長くなることもあります.ただそれを経て,少しずつ手が動くようになり,次第に一人で手術ができるようになっていきます.上級医の先生には莫大な時間をかけて教えていただきました.自分も今後は時間をかけて教えていこうと考えています.
ただ徹底的に教える時の注意事項として,部下が望む以上に教えすぎてしまうことです.最近はやりのパワハラと言われかねないからです.こちらとしては全くそんなつもりはなかった.けれども最近の風潮からは相手が望まなければパワハラになるため,十分な注意が必要です.
部下が時計を気にし始めたり,表情があきらかに変わっている,そんな場合は時間大丈夫?などで確認しましょう.
分担できる仕事ならば分担する
待ちすぎるのもできない,徹底的に教えるのも時間がかかりすぎる,,,そんな方にお勧めです.完全に仕事を分担してしまうことです.
私たち医師であれば,点滴や抗菌薬,食事,薬,血糖値など入院中の患者さんの様々な管理があります.その中の一つの項目を完全に任せてしまう方法です.例えば血糖値は部下に全てを任せ,あとの項目は相談しながら一緒に行う.これで血糖値に関してはかなりの成長が期待できます.もちろん多少の失敗はあると思いますが.その他の項目も一緒に進めるので,その他もほんの少しずつ成長してもらうことができます.
私自身が研修医から医師3年目の時は,この方法で教育していただいたように思います.様々な管理の1つ1つを徐々に任せてもらうようになり,最終的には全て自分一人で行うようになる.というか勝手できるようになっている.
責任もある程度与えられ,主体性も確保されているいい方法だったなと考えています.
自分自身を見直すのも大切
自分自身が1,2年目だった時はどうだったかを思い出してみてはいかがでしょうか?時間が経過すると意外と1.2年目だったことの詳細は覚えていないものです.
ただ仕事がどの程度できていて,どういう風に上司に教えてもらっていたか?その経験を思い出しながら教育してはいかがでしょうか?
以下のポイントにも注意です.
威圧的でないようで威圧的になっていないか?
この企画は~~で,○○な方針で進めようと思うんだけれど,わからない点ある?わかりそう?
丁寧に教えていて,疑問がないかも確認しています.
ただ『わかる?』などの言葉を繰り返すことで部下は,俺ってわかっていないって思われているんだなと感じることがあります.気をつけましょう.
自分と同レベルの仕事量または気づきを求めていないか?
これは無理に近い注文です.自分がやりたい仕事を完全にコピーしなければならないわけですから,部下が頑張っていても,自分が満足できる可能性が低いです.ゆえに,部下は仕事にやる気がない,仕事ができないと思ってしまう.
自分と違う方法やアプローチであっても,たどり着く先が7,8割程度一緒であれば問題ない,それぐらいの心のゆとりも大切です.その2.3割は相談していきながら埋めていくものです.
上司が何をしたいか,気づく.この気づくに関しても実は相当なスキルが必要です.気づきを求めるのはもう少し仕事ができるようになってからにしましょう.
何度も同じことを言っている気がする=何度も同じミスをすることを嫌う
何度も同じミスをする,同じところでつまずくときに思ってしまうものです.
これ,この前いったよね?
よくあるシーンだと思います.確かに1回のみならず何度か教えたような気がする,けれども同じところで間違えている,こんな時はいらだってしまいます.
私自身,人間ですからいらだってしまうこともあります.ただ自分が1.2年目だった頃は,同じミスを繰り返して仕事を覚えたように思います.つまり,何度もミスすることでやっとインプットできて仕事ができるようになる.この過程は誰しもに必要なのではないでしょうか?
しかしながら自分が,上司になると何度もミスしないことを求めてしまいがち.
何度同じミスをしても,何度も教えましょう.ただし教え方の言い方を変えたり,遠回しに伝えたりして,部下自身に同じ失敗をしてしまったと気づいてもらうことが大切です.
部下ができないと誰かに言っていないか?
誰かに部下ができないと言ったことはないでしょうか?
誰かに相談するのもいいことではあるのですが,絶対に信頼できる人だけにしましょう.みな,比較や評価が好きなので,〇〇さんがXXと言っていた,などが伝わる可能性があるからです.さらにはそれを発言した発言者の真意が含まれていない形で部下に伝わると最悪です.
部下が感じるままに,その言葉を感じてしまいやる気をなくしてしまうかもしれません.
まとめ
仕事を教える立場になって,責任も増え,ストレスもたまる環境だと考えられます.部下を教える時に意識するのは,社会人1年目=1歳児と考えるようにすることで,かなり落ち着いて教えられます.
社会人6年目だとしても,まだ小学生に入りたてですからできないことが多々あったり,生意気なことを言ったりがあってもかわいいものです.
社会人年数=人間の生後年数 と考える.このようにして,部下と接してみてはいかがでしょうか?
そうすれば新人は生まれたての赤ん坊ですから,怒るに怒れないですよね?赤ん坊が泣いている姿をみて,なんてやる気がない,なんて思う人はいないでしょうから.
部下を教育する際に非常に役に立った本もご紹介しておきます.気になる方はぜひ読んでみてください.
参考書:私が『ダメ上司』だった33の理由. 午堂登紀雄.日本実業出版社
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです.
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