医者って内科や整形外科とかたくさんあってよくわからん.
医者の科は,本当に細分化されていてわかりづらいです.こちらに関してまとめます.
単に『外科』と言っても様々な科があります.救急外来を受診した後,
これは整形外科でも診てもらってください.
このように言われた経験もないでしょうか?患者さん・家族からすれば
怪我して外科の当番があるから来たんですが?
外科って整形外科では?そんな違いわからないよ.
医療と言っても勉強量が莫大なため,様々な専門分野に分かれています.限られた時間の中で,自分の診療科についてのスペシャリストになっていくのが医者です.
内科と外科の違い,整形外科との違いなどをできるだけわかりやすいようにまとめてみました. 何科があるのか?種類/分類について説明していきます.
医者の何科の種類/分類:内科?外科?整形外科?違いをまとめて解説.
医者の科の種類の大きな違いで言うと,内科と外科
外科が手術して,内科が検査するところでしょ?それぐらいはわかるよ.
簡単に言ってしまえば,上記のように手術をするのが外科,手術をしないのが内科に医者は分類できます.ただ最近は内科も,手術に近いことを行っています.
以下に例を挙げたいと思います.
●腎臓内科:透析のためにシャントと呼ばれる血管経路を作る.
おそらく,患者さんからしたらこれらも『手術』になるのではないでしょうか?患者さんからすれば,何が手術で,何が手術ではないかわかりにくいです.
それでは,ざっくりと内科外科を分類するのではなく,もう少し具体的に分類するとすれば以下のようになると思います.
全身麻酔下で手術をするのが外科.=外科は手術室で行う処置がある科.
全身麻酔は使わないのが内科.=カテーテル治療や内視鏡治療などを行う科.
このように全身麻酔を使うか使わないかで,分類する方がわかりやすいかと思います.
医者の科の種類/分類:外科の分類.
外科と内科の分類は何となく理解できたかと思います.
けれど外科と整形外科って何が違うの?あと脳外科も.ドラマでは脳外科がいろんな箇所を手術しているのをみるし,分類されてるの?
ドラマのようにはなかなかいかず,外科でも手術できる領域が異なります.
ドラマのようにはいかず,手術は非常に難しいです.ドラマに関しては以下の記事を参考にしてみてください.
まず私たち医者・医師の間で『外科』と言えば『一般外科』と言われる科を意味している場合が多いです.
一般外科にしても,整形外科にしても,脳外科にしても,それぞれ手術を行う専門領域 (守備範囲)が異なります.
医者の科の種類・分類①一般外科
一般外科は体の中心,すなわち胸やお腹などの『体幹』を守備範囲としている医者です.
一般外科の分類をまとめます.
①心臓血管外科:心臓,大動脈などの血管を手術する科になります.嵐の二宮和也さん主演のドラマ:ブラックペアンは心臓血管外科です.
②呼吸器外科:肺を専門に手術する科になります.肺癌,気胸などを手術します.
③消化器外科:お腹の専門です.胃,大腸,肝臓,すい臓などお腹の臓器を手術します.消化器外科はさらに細分化されています.
④乳腺外科:乳房を手術する科になります.乳癌が主な守備範囲です.
⑤内分泌外科:甲状腺,副甲状腺と首に存在する臓器を手術します.最近では耳鼻科が手術する機会も増えてきています.
⑥小児外科:子供の外科です.小児科の外科バージョンです.
このように一般外科は細分化されています.一般外科は食べ物で言う「いちご」のように果物のひとつです.さらにイチゴにはあまおうやとよのかなど産地に分けて名称が異なります.
そのあまおう=心臓血管外科,とよのか=呼吸器外科,などに当たるわけです.
私たち外科医はこの中のどれか(どのイチゴ)を専門にして,医者として能力を高めていくようになります.
ドラマで言えば,米倉涼子さん主演の『ドクターX』のようにどんな臓器でも手術する外科医は一般外科です.ただ2022年現在ではドラマのように全てを手術する医師はもはやいないと思います.
私自身,一般外科で,『消化器外科医』になりますが,心臓の手術や肺の手術は自分で手術をしたことはありません.助手と呼ばれる術野のお手伝いはしたことある程度です.
患者さんからすれば,全てを勉強して,全てに対応できるのが理想かもしれません.ただひとつひとつの科でめちゃくちゃ勉強量が多く,手術方法も全く異なります.
数学者で言えば,微分積分が専門なのに,数列もみれるでしょ!と言われるわけです.
一般外科医はそれぞれに対して,多少は対応できますが,医者自身が満足できる専門性の知識・手術レベルには程遠いです.
私自身の消化器外科医は,さらに細分化されており,食道胃外科・肝胆膵外科・大腸肛門外科などに分けられます.そして消化器外科医は道路整備士です.
一般外科を受診するタイミング
一般外科は基本的には体の表面からは見えない臓器を手術するため,入院できる病院を受診するようになります.
基本的には,『内科』でいろいろと検査をしてから,受診になることが多いです.それかお腹が急にものすごく痛くなって,検査したら緊急手術が必要だった,そんな時に受診になります.
緊急手術の多い科です.
医者の科の種類・分類②整形外科
整形外科医は「骨」や「筋肉」を専門に扱う領域です.骨や筋肉ならどの箇所であっても診察します.
足を捻って捻挫してしまった.病院にいかないと.
このように,怪我をした時に行く患者さんになじみのある科ではないでしょうか?
先ほど少し説明しましたが,消化器外科が道路整備士なら,整形外科医は大工さんです.骨組みを治すからです.
実際に骨折した時などは,応急処置として添え木などをしたりしますよね?あの添え木を骨に打ち付けて骨折などを治したりします.プレートと呼ばれたりします.
整形外科を受診するタイミング
手足の怪我をした場合は,まずこちらでしょう.これは多くの方が経験あると思います.
その他は腰痛がある,手足が慢性的にしびれるなどです.内臓ではない箇所に異常がある時に受診することになります.
医者の科の種類・分類③脳神経外科
脳神経外科は字からわかるように,『脳』を専門に扱う領域です.ドラマ:コード・ブルーで山下智久さんが演じられる藍沢は脳神経外科医です.
脳は神経をつかさどっており,司令塔的な役割をしています.
非常に細かい作業を必要とする科になります.
消化器外科医が道路整備士,整形外科医が大工,のように日常生活に無理やり落とし込めば,コンピューターやインターネット修理に当たると思います.
脳内で出血している=コンピューターそのものがやられて,指令をだせない.
脳から出た首の神経がやられて指令が上手く伝わらない=インターネット接続が上手くいかない
このようになると思います.
脳神経外科を受診するタイミング
身近に受診するとなれば,転倒して頭を打った時が最も多いと思います.転倒して脳内に出血があるかどうかをみてもらうか,これは他の科でもわかることが多いですが,専門科がいいという方は脳神経外科を受診されたら一番確実です.
その他は,脳出血が最も一般的なので,手足が動かなくなったとか意識が急になくなったとかなどの症状で,急に病院に運ばれる場面が多いと思います.
医師の科の種類/分類:内科の分類.
内科に関しても細かく細分化されています.ただ内科は研修医時代に必ず勉強する科になるため,ある程度はどの医者も知識としては持っていることが多いです.
①消化器内科:胃カメラ,大腸カメラ,腹部エコーをする科になります.検診でよくお世話になるのではないでしょうか?
②脳神経内科:認知症,パーキンソン病,脳梗塞といった頭を診察する科になります.脳神経外科と間違えている方も多いです.頭痛がひどい時に受診する科です.
③腎臓内科:透析と言えば聞いたことがあるでしょうか.透析患者さんを細かく診察しています.
④呼吸器内科:肺炎,結核などをみる科になります.気管支鏡という道具を用いて気管内を詳しく調べられます.
⑤循環器内科:心筋梗塞.聞いたことがある病名だと思います.心臓が悪くなったらお世話になる科です.
⑥膠原病内科:まず字が難しいです.リウマチと言えば聞いたことあるでしょうか?リウマチなどの免疫疾患を専門にされています.
⑦糖尿病内分泌科:誰もが聞いたことがある糖尿病を専門に扱います.インスリン、、、これを使う場合はお世話になるのではないでしょうか.
⑧血液内科 :白血病などの血液の癌と戦う科です.水泳の池江璃花子選手はこちらで闘病生活を送られていたと思います.
非常に数が多く細分化されわかりづらくなっていますね.患者さんからしたら『しらんがな,わからんがな』となるのは当然かと思います.
ひとつの内科で全ての病気を調べてくれたらいいのに、、、
このように思われるのも当然なのですが,そうもいかないのが現状です.
内科を受診するタイミング
内科は科が細分化されているとはいえ,まずは開業医と呼ばれるいわゆる街医者を受診するのがほとんどだと考えられます.
街医者を受診して,血圧が高いや血糖値が高い,便潜血が陽性といった症状があれば,総合病院の内科を受診する流れになります.
その街医者が,専門の科に紹介してくれることがほとんどです.
ただ街医者の先生も必ず専門の内科があります.専門の科が最も得意とする科です.例えば頭痛で悩まされている場合は脳神経内科が最も専門です.
日本は自由診療ですから,自分で受診する病院を選ぶことが可能です.街医者を受診してもなかなか治らない場合は,自分の症状の専門の病院の先生がされている街医者を受診してみるのもありです.
インターネットで検索して,医師の経歴を調べると,それだけでどの科が専門科わかりますので,興味がある方は検索してみてはいかがでしょうか?
医者の科の種類/分類:眼科,耳鼻科などは?
眼科や耳鼻科は内科でも外科でもないの?
眼科や耳鼻科などはマイナー科と呼ばれる科に分類されます.
マイナー科について説明していきます.
医者の科の分類:マイナー科
マイナー科と呼ぶ呼び方は,医師国家試験でそのように呼ぶために,そういう分類になっているのだと思います.
決してマイナーな領域という意味ではありません.
ただ内科や外科と違い,もうこの臓器しかみない!という風に完全特化型の科です.
①眼科:視力検査,誰もがしたことがあるでしょう.目に関してのスペシャリストです.コンタクトのため,定期的に行かれる方も多いのではないでしょうか.
②耳鼻咽喉科:聴力検査,アレルギー性鼻炎などでかかられることもあるでしょう.今は知りませんが,昔は顔の前にCDをつけたおっさんと思っていました.
③泌尿器科:前立腺が大きくのー.おじいちゃんがよく言われています.前立腺,膀胱,などおしっこに関することを診察しています.
④産婦人科:妊婦さんや卵巣・子宮の病気専門です.女性の多くがかかることがあるでしょう.
⑤小児科 :字のごとく,子供を専門にしています.子どもの内科と思っていただければわかりやすいかと.
⑥整形外科:実はマイナー科に分類されています.
⑦放射線科:CTやMRIの検査でお世話になります.
放射線を当てる治療をしている人がいればこちらの科でしています.
マイナー科?僕らからしたら聞き覚えのあるなじみの深い科が多い.
街医者もかなりたくさんの病院があるのがマイナー科の特徴でもありますので,そのようにかんじられるのかもしれません.
一度は聞いたことがある科が多く,受診するタイミングもだいたい想像がつきやすいのではないかと思います.
まとめ:医者の何科の種類/分類:内科?外科?整形外科?違い
医者の科の分類まとめ.
多くの内科と外科は対になる科が存在しています.例えば消化器内科と消化器外科のようなパターンです.対になる科は下記のとおりです.①内科,②外科,③マイナー科で表記します.
- 対になる科の組み合わせ・
- 消化器内科⇔消化器外科
- 脳神経内科⇔脳神経外科
- 腎臓内科⇔泌尿器科
- 呼吸器内科⇔呼吸器外科
- 循環器内科⇔心臓血管外科
- 糖尿病内分泌科⇔内分泌外科
- 小児科⇔小児外科
この対になる科は専門領域が重なっているため,患者さんから見たら違いがわかりにくいかもしれません.
多くの場合は,内科と外科が対で存在しており,そのふたつは別物ということです.
そしてマイナー科の多くは対になる科が存在しておらず,その科で完結することが多いです.
医者の専門科.
医者は専門領域が決まっており,専門領域ではない疾患の場合,
それは専門の科の先生に診てもらってください.
と突き放したように聞こえる発言をするかもしれません.少し冷たく冷淡に聞こえるかもしれません.
ただこれは,自分の専門領域でなければ,自分自身の納得のいく診療ができないため,申し訳ないという気持ちの裏返しでもあります.
自分の半端な知識で,過去の医療を行っていたり,最悪の場合,間違っている可能性もあるからです.
患者さんにとっては,難しい話だとは思います.
今回は以上になりまます.どの病院行ったらいいのか?何科いったらいいのか?などお役に立てれば幸いです.
コメント
こんばんは
何科にかかればいいのか本当にわからないですよね、
腰痛だった時に「形成外科」に行って、「整形外科」に行ってください。
って言われたのを思い出しました
私自身いろんな疾患があって、「総合診療」の先生に主治医をしていただき
症状に応じて専門科を紹介してもらってます。虫垂炎だったときは
総合診療->消化器内科->消化器外科(大腸癌専門)->総合診療、という感じで
専門科から戻るときに総合診療の先生に治療結果を引き継ぐ、というのが定例になってますね。
その例に慣れておられない専門科のお医者様は、最後、総合診療の先生に引き継ぎでいいの?と
病院の事務の人に確認されておられました。
お医者様同士でも習慣化されていないのかなーって思ったりします。
総合診療に戻ったときに、カルテやお返事書に書いてあるはずなのに
専門科で何があって、どう治療したか、を説明してください、って言われて
30分近く話をしたのですが、遮ることなく聞いてくださった忍耐力がすごい、
と変な方向で感心してしまいました。
通院するときはお医者様の難しい説明を理解するのに必死になるのですが
そういう主治医の先生、大好きですね。無駄な話をしないように気を遣っているつもりです
ブログを読んでいただきありがとうございます.
患者さんにとっては何科に行けばいいのかは,雲をつかむような話かと思います.
総合診療内科が正確に機能している病院であれば,yuki様のような紹介の形などになるのかもしれませんね.
私自身も自分が手術した方であれば,通常は自身で診察しますので驚きではありますが.
時間も十分にない状況で説明しなければならないのでどうしても難しい話になることが多いですが,少しでもブログなどで解消していただけると幸いです.